「対話力」を磨く上で、大切な要素に「傾聴」があります。「傾聴」とは相手の話を中心に聞くというコミュニケーションスキルのひとつで、話し手である相手が「自分の話をきちんと聞いてくれる」「自分のことをわかってくれている」という感覚になり、信頼関係が築きやすくなるという効果があります。が、一方で聞き手側の心理状態が整っていないと「傾聴」にストレスを感じたり「傾聴」がうまくいかないことも。今回は「傾聴」のために聞き手側が行っておくとよい心の準備についてご紹介します。
「傾聴」のための心の準備
新しい気持ちで聞く
「傾聴」をする際には、新しい気持ちでいることが大切です。ネガティブな感情はもちろん、ポジティブでも高揚感などを感じている場合は、リセットして新しいフラットな気持ちにしておくようにします。最も簡単な方法は「深呼吸」です。自分の内側を見つめながら、ゆっくり10回ほど深呼吸をしましょう。
マイナス感情の解消
意識や感情がマイナスを向いていると、相手の話に集中できません。まずは、自分の意識や感情を観察し、マイナスを向いている場合は解消しましょう。
【観察してみましょう】
・今、何を感じていますか?
・今、どのような考えが浮かびますか?
・相手の話に集中できる状態ですか?
・「傾聴」を妨げるような要素はないですか?
興味・喜び・感謝を感じる
興味や喜び、感謝という感情は、心に余白と余裕を与えてくれます。心の余白や余裕は相手を尊重したり、傾聴したり、理解・共感するといったことを可能にしてくれます。「傾聴」の前には下記のワークをして、自分自身の気持ちを整えるようにしましょう。
【興味・喜び・感謝を感じるワーク】
・過去に興味、喜び、感謝を感じた経験を思い出してみる。
・「今から会う人は自分にとって大切な人だ」とイメージする。
・出会えること、これから一緒に過ごすことに感謝する。
・「一期一会」のありがたさを感じる。
意図を決める
相手に対してどのように接するかを決めてから会うようにしましょう。どのように接するかを決めることで、思考や感情、行動が意図した方向に向かいやすくなります。
【意図(どのように接するか)の例】
・集中して聞く。
・相手を大切な人だと感じて聞く。
・「否定せず、受け止める」を意識して聞く。
・リラックスして聞く。
・感謝の気持ちで関わる。
相手と自分の感情を切り離す
「傾聴」し、共感することは大切ですが、時々共感しすぎて相手のマイナスな感情を受け取ってしまうケースがあります。感情移入すると、心が揺さぶられて「傾聴」の妨げになることもありますので、「相手」と「自分」の感情は別のものだと意識するようにしましょう。
「傾聴」のときに気をつけたいNG行動
相手が抱えている問題を解決してあげたいという気持ちが強いあまり、やってしまう行動が「傾聴」においてはNGであることがあります。「傾聴」とは「相手の話をよく聞くこと」です。下記にNG行動の例をあげますので、「傾聴」時には意識するようにしてみてください。
【傾聴時のNG行動】
・アドバイスをする。
・話を遮ったり、相手の言葉にかぶせたりする。
・間を埋めようとする。相手の言葉に間髪入れずに話す。
・説得する。
・無反応
・相手の話を否定するような表現を使う。
「傾聴」をする側の私たちも、日々色々な経験をしながら日常を過ごしているため、いつもポジティブでフラットな心理状態でいられるとは限りません。ただ、ネガティブな気持ちや不安定な心理状態で、無理に「傾聴」しようとすると、相手にもつたわるものです。人と「対話」をする際には、日ごろから心のセルフケアを実践するようにしましょう。