「怒り」とうまくつきあうコツ ~ヒント#9

2022.07.21

皆さんは「怒り」という感情をどのくらい感じるでしょうか。普段から怒りっぽいという方もいれば、ホルモンバランスや月の満ち欠け、季節などによって怒りっぽくなるときがあるという方もいらっしゃると思います。今日は「怒り」という感情との上手な付き合い方についてご紹介します。

「怒り」は悪いものではない

「怒り」という感情は、よく悪者にされがちですが、決して悪いことだけではありません。私たちが「怒り」を感じるとき、脳内では「ノルアドレナリン」というホルモンが分泌されます。これは、人の活動ややる気をもたらすホルモンで、朝目が覚める時にも分泌されています。つまり、ホルモンの分泌の面から考えると、過剰でない「怒り」は、なんとかそれを思い通りにしようという活動ややる気の原動力にもなると考えることができます。

人はどのようなときに「怒り」を感じるか

期待通りではなかったとき

怒りの原因となる期待とは、人に対して、場合によっては、自分自身に対しても、勝手に抱いている「こうしてくれて当然」「やってくれて当たり前」と思っていることです。「そうなって当然」という気持ちがあるため、その通りにならなかった時、裏切られた気持ちになり、怒りが生じます。近い関係であればあるほど「言わなくてもそれくらいやってくれるだろう、わかってくれるだろう」と思いがちですが、自分がわかっていることすべてを相手がわかっているわけではないということに気づき、なるべく「言ったつもり」「そんなことは当たり前」という認識を減らすことで、このような怒りを感じることを少なくすることができます。

自分の大切なものを否定されたとき

自分の大切なもの・こと・価値観が否定されている、侵害されていると感じる時も「怒り」が生じることがあります。このような「怒り」を感じている時、人は「自分が大切にしている価値観 = 周囲にとっても正しい価値観」と考えてしまっていることがほとんどです。さらに「自分の大切な価値観=自分自身」となっているため、自分の大切な価値観を否定されることは、自分の存在が否定されたような気持ちになり、怒りを感じてしまうのです。まずは、自分が大切にしている価値観が周囲にとっても正しい価値観とはかぎらないということを知ることが大切です。場合によっては、あなたが大切にしている価値観について、相手は知らない・認識できていないこともあるのです。言い換えれば、あなたの大切にしている価値観を相手が否定したり、侵害しているのではなく、あなたとは異なる「その相手が大事にしている価値観」を言っているだけということです。そのように考えることができれば、相手との対話もスムーズになるのではないでしょうか。

疲れているとき

疲れているとき、体調不良のとき、人は余裕がなくなります。そのため、普段なら笑って済ませられることにも反応してイライラしてしまいがちになります。ほかの理由とは違い、いつもと違う状態の自分であるため、ついキレてしまうこともあるかもしれません。まずは、「疲れていると人はイライラしやすくなる」ということを知っておくこと、そして何よりこのように心にまで不調をもたらす体の不調や疲れをとるためにできることを優先しましょう。ホルモンバランスや月の満ち欠け、季節の要因などもここに当てはまります。前もって、このような状況の時にイライラしやすいということがわかっているようであれば、前もってセルフケアを行うようにしましょう。

「怒り」とうまくつきあうコツ

ここまで、「怒り」についてご紹介してきましたが、実際「怒り」を感じているときには、そんなに冷静に分析できないのが普通です。ここからは、「怒り」とうまくつきあう実践法をお伝えします。

「怒り」を自分から離す

「怒り」を感じたら、自分の頭や心の中にある「怒り」との間に距離を作ります。10秒数えながらゆっくり深呼吸をしましょう。そのときに意識したいのが今怒りを感じている状況を自分が空の上から見ているようなイメージを持つこと。そうすることで、「怒り」の渦中にいる自分をすこし「怒り」から遠ざけることができ、少し冷静さを取り戻すことができます。。

「怒り」を観察して、表現する

少し、距離をとって「怒り」の状況を見たら、その内容を客観的に観察してみます。「今どのくらいの怒りなのか」「どの言葉に怒りを感じたのか」「どの行動がイラっとしたのか」「どうしてほしかったのか」といったポイントで観察し、それを言葉で表現してみましょう。状況が許せば、紙に書き出してみるのもひとつのアイデアです。言葉にすることで、より客観的に見ることができ、怒りが収まることもありますし、相手に対して何を伝えればよいかということを整理することもできます。

相手に伝える

きちんと気持ちの整理ができ、冷静に相手と話ができる状態が作れたら、相手に気持ちを伝えてみましょう。気持ちを伝えるときは以下の3ポイントを意識します。
・「私」を主語にする。
・「~された」ではなくて、「~してほしかった」と伝える。
・必要であれば自分がその時感じた感情を伝える。
このように伝えることで、相手を責めることなく、自分の気持ちや要望を伝えることができます。

今回は「怒り」との上手なつきあい方についてご紹介しました。「怒り」は必ずしもネガティブなものだけではないとお伝えはしましたが、できるだけ笑顔でいたいですし、早めに切り替えられる自分でいたいですよね。夏は、暑いせいかイライラしやすくなるという人も多いようです。そんなときはぜひ、実践法をお試しください。

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