些細な一言が、人生を変えるヒントになることもあります。 3ケ月コースの授業の中で、「最近思い通りにならなくて、 ストレスを感じていることはありますか?」という問いかけに対して、 その方は、「人事異動前の上司にストレスを感じていました。 何か私のことをちゃんと見ていてくれていない気がして、 評価してくれていない気もするんです」と答えてくれました。
その方は、仕事も子育てもしっかりして、その上仕事帰りに ヨガスタジオに通ったり、自分の時間も作って、 毎日を楽しむスーパーウーマン。体調もよさそうですし、 このまま人生を送っていれば、人生も順調で、 変わる必要なんて何もないように見えました。
3ケ月コースでは、個別のカウンセリングを行いますが、 その方とのカウンセリングはコースの感想などを 聞いてみようという程度で始まりました。
人は幼い頃の両親との係わり方が人間関係の土台になります。 授業中のその方の「何か私をよく見てくれていないような気がする」という一言が気になったので、 それを頭におきながら、幼い時のエピソードを聞きました。 その方は弟さんがいて、お母さんから「あなたは姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」と いつも言われていたそうです。喘息で身体は弱い方だったということです。 そんな話を楽しそうされている様子に耳を傾けながら、 「何かお母さんがしっかり見ていてくれなくて、悲しい気持ちになったことはありますか?」 と問いかけると、何かの記憶がフラッシュバックされて、こみ上げるものがあったのか、 一筋の涙を流されました。
何を思いだしたのか、聞いてみると、喘息で入院した時にお母さんが看護師さんに 「この子はしっかりしているので一人でも大丈夫です」と言われたことを思いだしたそうです。 本当は心細くてしょうがないのに、お母さんを心配させないように、黙って見送ったそうです。
「本当は、どうしたかったのですか?」という質問に対して、「本当は、寂しいから一緒にいて!と言って、抱き付けばよかったんだと思います」と答えられました。「しっかりしているからこの子は大丈夫」 という(お母さんの期待に応える)人生のプログラムがここでできあがったのです。
もしかしたら、職場の上司も、この方がしっかりしていて、なんでも一人でこなすので、 見ていなくても大丈夫と思っていたのかもしれません。 しっかりしていて一人で何でもこなせることは恵まれた資質です。
ですが、時には、一人では苦しい時もあります。しっかり人に助けを求めること、 甘えることで、より良い結果が出せることもあります。さらに、助けてくれる人との関係も深まります。 職場でも、上司や後輩に、しっかり助けを求めることができるようになっていけば、 一人の仕事がチームの仕事に発展して、マネジャーとしても成長していくことでしょう。
健康管理も万全なしっかりもの、そんな人の訴えほど、 丁寧に耳を傾けることが大切だとセラピストとして感じたカウンセリングの場でもありました。
長男長女の皆さんは、逆に、問題をおこしがちのお兄さん、お姉さんをお持ちの方々、 「しっかりしすぎてはいませんか?」