皆さま、こんにちは。山田いずみです。
アーユルヴェーダには「リトゥチャリヤ」と呼ばれる、季節に合わせた食事や過ごし方を整える知恵があります。
今でこそ、この智慧を皆さまにお伝えする立場にありますが、10年前の私は、季節の変化をただ「耐えるべきもの」として捉えていました。真冬の寒さに心まで沈み、真夏の暑さに気力を削がれる。そんな風に季節に翻弄される日々の中で、ふと「楽しみながら、自然のリズムに歩み寄ることはできないか」と考え、20代の頃に母に勧められて通った茶道のお稽古を再開しました。
掛け軸に込められた、亭主の想い
茶の湯の世界は、室内のしつらえからお道具、お菓子に至るまで、亭主が客人を想う心で満たされています。
なかでも床の間に掛けられる「掛け軸」は、その日の趣向や亭主の願いが凝縮された、最も敬うべき存在です。表千家の初釜をはじめ、正月の席で毎年掛けられる禅の言葉に、このようなものがあります。

「春入千林処々鶯(はるいりて せんりん しょしょ うぐいす)」
春の気配が林という林に満ち、いたる所で鶯が鳴いている。春が来れば、どの草木も等しく芽吹き、花を咲かせる。 転じて、この世界の森羅万象すべてに、等しく尊い命(仏性)が宿っていることを意味します。
日本語の美しさは、漢字を眺めるだけでその情景が浮かび、万物が新しく始まるエネルギーを感じさせてくれるところにあります。
日常から離れ、五感を取り戻す
仕事や人間関係の悩みで頭がいっぱいになると、私たちはつい足元ばかりを見て、季節の移ろいに気づく余裕を失ってしまいます。
茶道は、そうした日常から一歩離れ、季節を感じながら一杯のお茶を共にする「平和」を味わう時間です。私たちは意識して五感を使わなければ、自然が刻一刻と見せてくれる変化や、その一瞬の美しさを愛でることを忘れてしまいがちです。
五感を開くことは、自分自身を自然の一部として取り戻すことでもあります。
ほころび始める春を待つ

今、寒さは本番を迎えていますが、どうか少しだけ顔を上げてみてください。 庭の隅や街路樹の枝には、そろそろ梅の蕾が膨らみ始めているはずです。
冬の厳しさの中で、静かに春を待つ蕾。その健気な姿に気づくとき、私たちの心にも確かな春の気配が宿り始めます。
季節に抗うのではなく、その変化を楽しみ、慈しむ。 そんなしなやかな生き方を、これからも皆さまと共に深めていければ幸いです。
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「自らの存在価値を再定義し、人生をより高めていく一助となりますように」

